学校帰り。いつも通る小さな公園がある。人がいるとこなんかロクに見た事がない。
この季節、帰宅部のおれが通る時間は夕暮れで赤く染まっている。人がいない事と相まって、より寂しく見える。
いつもは気にも止めないが、ふと今日は気になった。
どうせ暇だしな…。
自分に言い訳して公園に入っていく。
公園はただ静かだった。風の音が大きな音に聞こえるほど、静寂に包まれている。
公園の中の二つのブランコ。最近誰かが使った事はあるんだろうか。どう見ても使われていないように見える。
二つのブランコのうち、自分から見て右側のブランコに座る。
キイィ…
ブランコを少し揺らす。ブランコなんて久しぶりだ。高校生が一人でブランコに乗ってるこの絵は、誰かが見てたら変だろう。
「……………」
時間がゆっくり流れる。とても静かだった。
…もう帰ろう。
気まぐれでふと寄ってみたが、やっぱり退屈だ。何もなさすぎる。当然か。帰って宿題でもしよう。
「…待って」
声がした。幼い女の子の声。遠くからじゃない。近くから。
隣のブランコを見る。するといつからいたか、女の子がブランコに座っていた。