ヤス#94
「アイノツブテさ…母さんが流した涙から出てきたんだ。
「そう…そうだったの…純粋さんも特別だったのね…」
「おばさん、これ、一つ持ってて…御守りだ」
「そんな大切なもの…預かれないわ」
「いや…僕の心がそう言ってる…いつも身に着けておくんだよ。これがおばさんを守ってくれるからね。このまま、平和な日が続けばいいのだけど…」
「わ、分かったわ…肌身はなさず持ってるわ…やっちゃん、私はどうすれば?」
「契りを交わす」
「契り?」
「おばさんを僕の一部にするんだ…いいね」
「一部?」
「命、預かるよ」
「…はい…やっちゃん…ヤス」
ヤスは泰子を抱きしめると草むらの上に横たえた。春の太陽の下、泰子はヤスに全てを捧げた。