俺は何故生まれたんだ?
アイツの体を守るために生まれたのか?
アイツが大事にする彼女に恋するとは…
“久遠”と書いて“クオン”…それが俺につけられた名前だった。
アイツとは同じ体を使う…そう、俺らは二重人格。
俺は悲観的でトゲトゲしい。
体の持ち主といえば、俺の逆で人なつっこい。
アイツの彼女と言えば…
魅力的で喉から手がでるくらい…欲しかった。
だから俺…
アイツを心の部屋に閉じ込めた。
今夜彼女を奪いに行く…
「…っちょっ…」
俺は止まらなかった。きっとアイツならもっと優しく触れてるんだろうけどね。
「…ホ…ムラ…どぅ…したの…」
俺は手を止めた。
「…違う…アイツじゃない…」
俺は彼女を冷ややかな目で上から眺めて言う。
彼女は驚いて、ただ俺を見つめる。
「…誰…なの?」
「俺は…クオン…。アイツ…ホムラの人格だ」
彼女は黙っているだけだった。
「…ワケ…わからないよな…悪い」
俺は彼女から離れて背を向け煙草をくわえる。
すると彼女は起き上がって俺の背中に寄りかかる。
「…期待するから止めろ…」
「…たまに凄く冷たく話してたのは…クオンなの?」
「そう…アイツを気持ち悪いと思うなよ…」
「思わない…」
「それなら…いい」
しばらく沈黙の中、俺は心中を話すと決めた。
「…俺…ずっとカヨが欲しがった…ずっと…好きだった…」
俺は彼女の方を向きじっと瞳を見つめた。
彼女は何故か微笑んだ。
「…もし…二人好きだって言ったら…ホムラ怒る…かな?」
「…さぁ…俺が体使うときはアイツは記憶ないからな…」
「ねぇ…抱いて…」
俺は彼女の体をむさぼるように抱いた。
抱いて抱いて…
今までの溜めてた想いをぶつけるように抱いた。
「…いけないこと…してるよね…アタシ…」
「俺は…2番目でもいい…カヨが平気なら…」
「…複雑だよ…優しいホムラ…冷たいクオン…どっちも好きなんて…」
「俺…それでも…幸せだよ…」
何度も何度もキスをした。
“愛してる”
はじめて俺が恋をした人は…
魅力的で情熱的で…俺は初めて生きる意味を知った。
不思議な三角関係は…
はじまった…