眠れぬ夜を過ごした三上と井上をよそに、残りの三人のテンションは最高潮だった。
今日は昨日とは打って変わって快晴。クルーザーでの島巡り一日目は予定通り順調に行きそうだ。
「ねぇ三上君と井上君テンション低くない?」
「確かに。なんかあったの?」
乗り場に向かう車内、後部座席の右端ででうなだれる井上と、助手席でただ外を眺めているだけの三上に対し、佐伯かすみと風間由香が二人の顔をのぞき込むようにして言った。
「どうしたんだよ?」
運転席の佐々木拓海も心配そうに声をかけた。
「いや、大丈夫だよ。朝が弱いだけだから、島に着けば自然にでも上がるさ。な、井上!」
「あぁ。だよな…」
三上ね言うとおり、最初の島に着くと二人のテンションはみるみる回復した。
「島の人って優しいよな…」
井上は、昼食の為に立ち寄った小さな定食屋で、いつのまにか地元のおばちゃんと仲良くなっていた。
島での一日を満喫していた五人だが、午後になると、さっきまで晴れていた空が急に曇りだし、遂に雨が降り出してしまった。
「雨が強くならないうちに帰ろう。」
船長の言葉に、五人は渋々島を後にした。