夏のはじめ
夏の風物であるセミの鳴き声に振り向く事なく俺は自転車を走らせいつもの場所へ向かう。
自転車の鍵も抜かず無造作に自転車を乗り捨て病院内に入る。
病院の自動ドアが開いた瞬間冷たい風が心地よい。急いで来たから尚更である。
俺は待ち合わせの場所まで急ぎ足で向かい、1階のエレベーターを見て1階にエレベーターが来ていないと歩きながら確認したら階段で3階まで1段抜かしで一気に上った。
階段で上った息を整えてまた歩き出す。
―キュッ、キュッ、キュッ、キュッ―\r
スニーカーのゴム底が廊下と擦れる音が長い廊下に反響する
―キュッ、キュッ、キッ!―\r
病室を確認して立ち止まり、少し間を開けてノックをして病室の中に入る。
そこにはいつも変わらず笑顔で迎えてくれる君がいた。