気付くと辺りは暗闇に包まれていた。暗闇というより、無に近い。何も見えない。何も無い。
自分の体だけは、この闇の中でもハッキリ見える。地面も空を解らないので、まるで宇宙に浮いているようにも感じる。
一体…、何が起きたんだろう
ハッとして女の子の方を見る。女の子もおれと同じく、色を失っていなかった。金髪の髪もハッキリ見える。
恐らくブランコに乗ってるんだろうが、ブランコが見えないので、座ったまま宙に浮いているように見える。
「本当は…少し時間をあげたかったのだけど…ごめんなさい」
「あ、謝ってないで、何が起きたか説明してくれ!君がやってるのか!?これは!」
「説明する…時間…が…ない…後は…あなたが…」
女の子の姿がぼやけ始める。声も遠くなっているように感じる。
ピカッ
「…………!」
どこからか、光が差し込んで来ていた。闇の中の突然の光に、思わず目を瞑る。
目を慣れて開くまでのあいだ、一瞬のようで、とても長い時間を過ごした気がした。