激しい鼓動で飛び起きた。まだ胸がドキドキしている。
五年前に事故がもとで亡くした彼女を夢で見たのだ、
随分と久しぶりの事で切なくて懐かしい。
夢は自分の部屋で二人掛けのソファを膝枕で寝転びTVを見ている。
彼女が手尺で腕の長さを計って呟く
「まぁくんの腕太くて短いよ!」
俺が言う
「短いんじゃなくて、太いからそう見えんの!ミユキは腕枕が好きなんやろぉ〜?」
ミユキは下唇を少し噛み照れくさそうにに微笑み
「そんな事ないよぉ〜!」と呟く、
そんな30秒程度のやり取りだったが、
今の俺には懐かしく涙を流すには充分な思い出だった。
慌てて、携帯で時間を確認した。
やっぱり午前四時五分、ミユキの亡くなった時間、
ほぼミユキの夢を見るのは決まってこの時間だったからだ。
ミユキの事を忘れた日など一日として無い、
だが時間の経過とともに、夢を見る事が減り、
前に見た日が思い出せないぐらいになっていた。
もうすぐ7月20日、
二人の交際が始まった記念日が近づいている。
毎年、7月20日と2月11日の命日は、
ミユキのお墓参りに行くと決めていた。