「彼女の事、大事にしてあげてね」
美紀先輩に言われて頷く和也。
「それと…ありがとう」
少し泣いてるような顔をして立ち去ろうとする。
「俺の方こそ!」
美紀先輩は背中を向けたまま、空を見上げて
「バイバイ…」
そしてその場を去って行った。
残された私達は顔を見合わせる。
「これからどうする?」
和也の質問に私は迷う事なく答えた。
「和也の家、行きたい」
「歩ける?」
「何で?」
「重い…実はさっきからずっと我慢してた」
何ィ!?ちょっとショックだよ、それ。
でも、もう少し抱っこされていたいから
「まだ頭が…」
とか言ってみた。
「甘えただな」
ふぅっとため息なんかついてる割には笑ってる。
(あ、久しぶり…)
目を垂らして笑う和也を久々に見て、愛しさが増す。
和也が、私を選んでくれた。
それだけで浮かれてしまう私は、頭が痛い事なんてすっかり忘れてた。
「どうした?」
私をベットに座らせて、覗き込む和也は相変わらず意地悪だ。
(覚悟決めてるんだよ!)
「解れよ…」
膨れっ面の私。
「絆創膏…確かこの辺に…」引き出しを開けたり、閉めたりしてこっち見てないし。
私はそうっと背後に近付き抱きついた。