圭織は武藤の式神の一人だ本性は金色の毛並みの猫又で、人間になると金髪の美少年になる。
圭織はその麗しい容貌を目一杯変なふうに歪めて、その愛らしい桃色の唇から 「ばーかしんじゃえ。この髭面間抜けとーんまー」
と受話器越しの武藤に思い付くかぎりの悪口を吐いていた。
似合わない。
あまりに愛らしく純真で舌ったらずそうな少年の唇からはっきりした口調でばーかだのなんだの言っている姿はいっそシュールだ。 「俺はあなたの小間使いじゃないし忘れたんなら戻ってとってきなよ。絶対俺、やだからね」
『圭織くんそんなこと言わないでよぅ。』 武藤が困ったように言う。「やです。」
すっぱりと切り捨てる圭織『でも今回仕事場所は大学だよ、若くてぴちぴちのお姉さんがいっぱいだよ』 嘘である。むしろ対比したら男8、女2という割合。とんでもない嘘だ。