―恋愛とは半身を求める行為である―\r
何かの本で読んだ事がある。
いったいどれだけの人が一生のうちで運命の人に出会えるんだろう―?
藤谷さおり、高校二年。好きな人もいなければ彼氏もいない。進路も決まっておらず、平凡で何処か物足りない生活を送っていた。
「まぁ君、今日会えなくなったんだって〜」
残念そうに言うクラスメイトの久留米はどうやら彼氏にドタキャンされたらしい。
そもそも久留米に彼氏が出来た事自体、さおりは今時で言う“微妙”ってヤツだと思っている。
「残念だね」
目も合わさず言葉を発する。
本当はそんな事などひとかけらも思ってやしない。
それよりも出来るだけ自分に関わって欲しくないとさえ思っていた。
放課後、部活動のない星窪女学園は他の学校よりものんびりした空気が流れてる。
友達同士残ってる者やバイトの時間まで暇を潰しているもの、彼氏との待ち合わせ場所まで直行する者と様々である。
四人グループの一人であるさおりも、今日はバイトがない為、他の三人と校門に足を向けていた。
「藤谷さん、待って!」
一階に続く階段を降りている時に、後ろから呼び止められた。
この声の主は篠崎ちえみ。