一通の手紙 1

新海 翼  2007-07-12投稿
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プロローグ

ある日のことだった。何を思ったのか、自分の部屋の窓を開けて、外を見る。外には家や電柱が立ち並び、その真上には、散らばった星達が夜空を輝かせていた。

けど、何故、窓を開けたか、理由が分からない。星空を見たくて、窓を開けたのではないのは確かだけど。

だって、僕はそんなロマンチストじゃないし、星を眺めている姿なんて似合わない。

僕は首をかしげながら、窓に付いている取っ手を握り締め、窓を閉めようとした時だった。どこからか聞き覚えのある音がし、その音は少しずつ近づいてくる。

僕は窓の取っ手を手から離し、窓から顔を出し、自分の家の下付近を見る。すると、一台の救急車が上に付いている赤いランプをクルクルと回し、大きなサイレン音と赤いランプで辺りを紅く染めながら、近くを通り過ぎて行った。

このような光景はよくあることではないが、まあ、普通のことだ。
けど、なんか心の奥がモヤモヤする。

「あ〜なんなんだよ!うっとおしいな〜!」

僕は髪を両手でかきむしった。

「寝るぞ〜」

僕は開けっぱなしの窓を閉め、部屋の電気を消し、ベットにうつ伏せになり、勢いに任せて眠りについた。

あの時のモヤモヤ感は、翌朝知ることになるなどは、まだ知ることはなかった。

午前5時頃、夜空と引き換えに太陽が昇り、朝となった。

「陽、起きなさい」
午前7時半頃、母さんの声で目が覚めた。外からは朝らしく、小鳥の鳴き声が聞こえていた。

僕はパジャマのまま、自分の部屋を出て、階段を下り、まずは一階の洗面所へ向かった。洗面所では歯を磨き、顔を洗い、タオルで濡れた顔を拭いた後、今度はいつも朝食が用意されているリビングへ向かった。

「ファ〜おはよ〜う」
「あら、珍しい、一回で起きてくるなんて。ねぇ、お父さん?」

母さんは父さんの朝食の片付けをしながら、笑い声で言った。

「そうだな。今日は雪でも降るんじゃないか?ハッハッハ」

父さんは両手で新聞を見ながら言った。

「もうすぐ、夏なのに降るわけねぇよ。一日ぐらいあってもいいやんか、こんな日があっても」

「いつも今日みたいだと、私は助かるんだけどね」

「・・・」

「ハッハッハ。こりゃ〜母さんの勝ちだ」

「フン」

こう言いつつも、本当は、こうすんなり起きれたのが不思議であった。

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