空色ナツカゼ−シンジュノハナ−

マヌ  2007-07-14投稿
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時に人は愛しすぎて、自分を殺してしまう事があるらしい。心に固く蓋をし、鋼の様に固く身を縮めてしまうらしい。でもそれは、他ならぬ、愛なのだ。
月に照らされた床に紅いの模様を描く。不思議と怖くはなかった。彼がいっしょだから。「……これで良いんだね。」
私は深い闇へと吸い込まれた。
「俺は、もう逝かなくちゃ。芽吹、ずっと愛してる。………っ…」彼の瞳からは真珠のような涙が後から後からこぼれた。大好きな人が赤く染まる……。彼は耐えられなかった。「やっぱり生きてよ。なぁ、生きてよ。芽吹っ………芽……」指の先からどんどんと砂が零れ、彼はみるみるうちに消えて逝った。「どうか彼女を照らして……」彼の最後の言葉だった。



あれから、月日はたち、私はもう新しい恋をしてる。でもふと思う。本当に死んでいたら、きっと後悔したのではないか、彼はそれを解って助けたのではないか、と。
あの日から毎日、私はあの場所に花を手向ける様になった。そしてこう言うのだ。「あなたを愛してるから、生きたい。」



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