龍雅は廃校内に立て篭もった『革命教団』から人質を解放するために単独での制圧を試み、成功した。
しかし、リーダー格の男が死に際に残した言葉が龍雅にとっては腑に落ちなかった。
龍雅はその男の真意を探るためにテクノアートインダストリー社の契約社員となることを決意した。
廃校立て篭もり事件から一週間後であった。
龍雅は契約社員となり、専用の寮で生活していた。
それまで、野宿生活がほとんどだった龍雅にとっては夢心地だった。
17歳の若者にとって六畳一間の暮らしは快適であった。
この一週間の間にも龍雅は革命教団に関わるごく小さな案件の処理に携わっていた。
その内容は主に革命教団の資金源となっている金塊の不法取引組織を撃滅させることである。
通常の任務みたいにストライカーの出る幕はなかったが任務をこなす中である情報を手に入れた。
『テラ・エクステイン社が革命教団の活動に加担している』
テラ・エクステイン社…兵器製造の分野で常にトップ争いを繰り広げる優良企業でありライバル企業と軍の発注の熾烈な奪い合いをしている。
龍雅はこの情報を耳にした時、その情報の存在性を疑った。
軍人時代、龍雅はテラ・エクステイン社製の兵器に絶対の信頼を置いていたからだ。
しかし、龍雅はすぐに考えを改めた。
以前、龍雅と戦った牛型グルドには強制細胞変化が施されていた。
実はこの会社こそが強制細胞変化を初めて成功させた会社であったのだ。
そんな事を考えていると突然電話のベルが部屋中に鳴り響いた。
龍雅は受話器を取った。
龍雅「…シェイルか……」
陽気な口調でシェイルが語りかけた。
シェイル『おはよっ。龍雅。仕事入ってるよ』
龍雅は軽くため息をついた。
龍雅「…お前はいつも嬉しそうだな?…気に入らない…」
シェイルは軽く咳ばらいをした。
シェイル『…あんたも予想してたと思うけど今度の目標はテラ・エクステイン社の専務だとさ』
龍雅は再びため息を着いた。
龍雅「…ここのパーツは信頼していただけに残念だ…。この仕事の期限は?」
シェイル『…今日中…ストライカーを使用するかどうかは任せるよ。報酬は任務の完了が確認でき次第速やかに行うから』
龍雅「…わかった…」
龍雅は静かに受話器を置いた。