僕が廊下で外を眺めてたらチョルスが息を切らしながら走ってきた。
「おい、聞いたぜ。お前また告られたんだってな。」
「誰から聞いたんだよ?」
「イルスだよ、イルス。」
「あンニャロー」
僕が教室に視線を戻すと、イルスと目が合った。
僕がイルスのほうに歩いていくと、イルスはピンときたのか、その場から逃げようとしたが、僕とイルスの距離は机一つを隔てただけだった。
「てめぇチョルスに言ったな?」
「てめぇがモテるからいけねぇんだ。」
「アホか、お前?」
イルスが逃げたので僕はイルスを追いかけまわした。
いつのまにかチョルスも加わってる。
僕達3人はそのまま屋上へと駆け上がっていった。
屋上のフェンスにもたれながら3人とも息を整えた。
小1のあの事件以来、僕ら3人は仲良しになった。
朝鮮学校は小学校と中学校が一緒の校舎というケースが多いので、最低でも9年間は一緒にいることになる。
思えば僕らももう中3で、そろそろ自分の進路を決めなくちゃならない。
つまり、朝鮮高校に行くか、日本の高校に行くかということである。
僕は前から日本の高校に行こうと思っていたのだが、まだ二人には話してない。