さおりは何も答えられないでいた。
どんな人なんだろうと思う事はあった。けど不安もあったのだ。
『会いたくない?』
一樹の残念そうな声を聞いたさおりは慌てて、
「そうゆう訳じゃないんです!」
と答えた。
一樹はため息をつき、そしてゆっくり話し始める。
『ここ数日、俺の中でさおりちゃんの存在が大きくなってんのわかるんだ。
だから会いたい…』
一樹の気持ちがさおりにも伝わって来て、更に黙ってしまう。
『会ってもないのにって、思うかも知れない。けど俺、多分さおりちゃんの事が好きだ』
ドキッとした。
異性から告白された事が数少ないからかもしれない。だけど、一樹の気持ちを踏み躙る事は出来なくて、取り敢えず会ってみようと思った。
一樹が公休と言う事もあって、三日後の日曜日に会う約束をし、前夜に一樹はさおりに電話を入れる。
自分の気持ちを伝えて少し気が楽になったのか、『会ったら、ちゃんと目を見て伝えたい』と言った。
さおりは「はい…」としか答えられなかった。
嬉しいのと恥ずかしいのが入り交じって鼓動が早くなる。
『あ〜、絶対眠れねー!(笑)』
電話越しで叫ぶ一樹。
「私も…」
さおりもつられて笑った。