雨の日に思い出すのは
忘れられないあの恐怖。
ザァー。
引っ越して来たばかりの部屋で荷解きをしていると、怪しかった雲行きが本格的な雨に変わった。
なんだよ、この後友達呼んで飲もうと思ってたのに。こんな雨じゃ、誰も来ねぇな。
仕方なく、期待していた友達の手伝いもなしに荷解きを続けることになったオレは、チラッと時計を見た。
もう7時か。
腹も空いてきたし買い物でも行こうと思い立ち上がろうとした時、ベッドに置いておいたケータイの着メロが鳴った。
もしもし?
あっもしもし田中先輩。オレ、あつしですけど。
あつし?!
あつしは一個下のサークルの後輩で、今日来れたら来てとメールを入れておいた一人だった。
何?もしかして今日来てくれんの?
はい、もう近くまで来てるんですけど、コンビニあったんで差し入れしようと思って何がいいか先輩に聞こうと思ったんですけど。
やっぱりもつべきものは後輩だ。酒とつまみを頼むとオレは後輩の来訪を心待ちにして電話を切った。
タバコも頼べば良かったなんて考えながら。