インターホンを切ろうとする間際にも、女はまだ何かを言ったように思われた。でも、もう関わる気にはなれなかった。
不気味な女だったなと思いながら作業の続きにとりかかると
またインターホンが鳴った。
またか。ため息が出た。
後輩かもしれないがあの女かもしれない。
正直またあの女だったら面倒だな。
そう思って今度は玄関口の覗き穴を見ることにした。
静かにそこまで行って覗いてみる。
そこにいたのは女だった。
クソッしつけーな。知らないって言ってんのに。
ここまで来るとイライラした。
ドアを開けて直接文句を言ってやろうと思い、鍵に手をかけた時、妙なことに気付いた。
あれ・・・?
冷たいな。
足元を見ると、玄関はいつの間にかびしょ濡れになっていて、並べてある靴までもが水に侵されていた。
なんだよ、これ!?
雨漏りなわけがなかった。天井は濡れていなかったのだから。
溢れ出す水はドアの下から漏れ出ていた。
あの女が何かしてんのか?疑わしいのはあの女だった。