鍵をあける。
あんたさっきからしつこいって!!いい加減にしろ!
女はそこにはいなかった。
大きな水溜まりが一つ出来ているだけで、女は忽然と姿を消していた。
チッ。
舌打ちしてドアを閉めようとしたその時。
ピチャッピチャッ
耳元で水滴の落ちる音がした。
あんたさ!!
視線を気配のするほうに向ける寸前で女はあの独特の口調でこう言った。
あのぉー・・・
ひろし君はぁ・・・
あなたが
殺したんですかぁ・・・?
え・・・・?
何だって?瞬間的に思考が止まる。。殺したって?
誰が誰を?
うつむいたままの視線に異様に青白い足だけが写っていた。
靴をはいていない傷だらけの足が。
答えないと。違うって言わないと。警告音が聞こえる。
今。
今言わないと危ない。
焦りは口を思うように開かせてくれなくて、言葉にすることが出来なかった。
半分開いたドア。
閉めないと!!震える手をドアノブにかける。
ここを閉めれば!!