少しだけ早く
オレの手を
女が伸ばした青白い腕が掴んでいた。
あなたがぁ・・・
殺したんですねぇ・・・?
ググググッ
首を右に曲げてこちらの顔を覗き込んだ女の目は焦点があっていなかった。
ニィ。
真っ青な唇に笑みを浮かべハッキリと同じ言葉を女は口にした。
ドウシテコロシタノ?ドウシテコロシタノ?ドウシテコロシタノ?ドウシテコロシタノ?
知らない!!何なんだよこの女は!!オレは何もやっていない!関係ないんだよ!!
心の中で何度も呟きながら無我夢中でドアを閉めチェーンをかける。
逃げるように玄関から離れたオレにガチャガチャというドアノブを回す音だけが聞こえていた。
ピンポーン。
どれ位たったのか、耳を塞いでいても聞こえてきたあの音も聞こえなくなった頃、チャイムが響いた。
その場を動けないでいると、ドアを叩く音と先輩あけて下さいというあつしの声がしてきた。
急いでドアの方に向かってチェーンを外し鍵を開ける。
せんぱーい。ビックリさせないで下さいよー。
いるなら早く開けてくれればいいのに。
いつものように笑うあつしにオレは返事を返せなかった。