「キャー!姫だぁ〜めっちゃかわいい!!」
会場は一気に最高の盛り上がりになった。
「…もしかしてあの人がもう一人のメンバー?」
女が聞いた。
「そう。あの人が姫野愛華(ヒメノアイカ)さん。ここのクラブ…この街の伝説の人だよ…」
そこには真っ白なドレスにも負けないほど透き通った白い肌に、甘さを出したミルクティー色の長い髪、まるで本当に夢の中で見る天使の様な姿をした子が立っていた。
「あの、握手してもらえますか?」
そういって、姫に手を差し延べたのはこの辺りで有名なDJの潤だった。
「……」
姫は何も言わずに、二階へと向かった。
「潤のことシカトしたよ?あたしなんか話したことすらないのに!」
女が言った。
「姫はね、誰にもおとせないんだよ。どんなに有名でも顔が良くてもね。なんでかわかんないけどね。」
そこが姫の伝説の一つだった。
姫がこの街に来てからすぐに有名になった。
誰もが姫を見て振り返る。いつしか姫をものにした男はこの街の覇者と言われるまで噂は広がった。俳優・芸能人・DJ・歌手・ダンサー・社長・ヤクザ・いくつもの男が姫を自分のものにしようとして、・ブランド物・高級レストラン・金・車・家・さまざまな物という物を与えた。
しかし、姫は誰のものにもなろうとはしなかった。