…ザワザワ…ザワ……
あーもううるさい。
ねーねーどこ中〜?
あ!じゃああの子知ってる?!
そうそう!!
…っていう定番なおしゃべりの渦。
うるさいって思いながら、実はあの中に入りたいって密かに思ってたり。
でもこっちは緊張してるっての。
友達できるか不安だし〜?
高校生活に馴染めるかも不安…
もう不安不安不安不安〜〜
「………ライさん?」
「おおさわ…みらい?さん…?」
はい〜?
いきなり上目遣いで顔を覗き込むように、座席表のあたしの名前と、あたしを交互に見ながら話しかけてきた、この可愛いらしい女の子にちょっとびっくり。
てか、違うってー
10人中9人には間違えられるんだな〜。
「んと、おおさわみきです」
みきを少し強調して言ってあげた。
すると、普通にしてても大きく丸いぱっちりしている目を、さらに大きくして、
「未来って書いてみきって言うの〜??」
って。
可愛い。可愛いって。
この子絶対モテるって!絶対、うんうん。
一人で納得したあとその子に答えてあげた。
「みんなによく間違えられるんだよね〜ややこしい名前でごめんね〜」
「ううん!みきちゃんってどこ中だった?」
きたー定番な質問ー!
「みな中〜…、あ、南塚中ね」
みな中って略しても多分、わかんないと思うから。
「みなみづか…?聞いたことないかも、ごめん」
そりゃそうだよ。
何しろ引っ越してきたから。
「千葉から引っ越してきたんだ〜。あ、名前…」
「あ、雪田桜です」
いきなりかしこまったように敬語で、座席表に書かれている自分の名前を指しながら言ってきた。
てか名前とマッチしすぎ〜!
雪みたいに色白だし、桜みたいにピンク似合う感じだし!
座席表をもう一度見直したら
窓側の一番後ろ端に書かれている「大沢未来」の右斜め前の席に「雪田桜」って書かれている。
お、席近いじゃん。
「桜ちゃんでいい?」
すると少し笑いながら
「桜で大丈夫だよ☆桜もみきって呼んでいい?」
自分のこと名前で呼ぶ子ってブリッコってイメージあるけど、この子は許せる!
くらい可愛い。
「うん、じゃあ桜って呼ぶね」
これが桜とのはじめての出逢いだった…