何も変わってはいなかった
畳の匂いも
冬の山河を描いた水墨画の掛け軸も
歴史を感じさせる古木を使ったテーブルも
敬介の目の前には10年前、両親が殺された部屋が10年前と全く変わってない状態で存在している。
(まさか1あの日と全く同じ部屋になるとはな…)
敬介は先程ロビーでチェックインを済ませ旅館の離れにあるこの『鶴の間』へとやって来た。
敬介はボストンバックを置き畳に腰を下ろした。
(そーいえば今何時だったけ?)
敬介は携帯を取り出して画面を見ると11:50と表示されている。
敬介はもうこんな時間かと思って携帯を閉じようとした時、何処からか冷たくそして甘い女の声が聞こえてきた。
お帰りなさい
やっと会えたわね・・・
もう放さないわよ・・・
貴方ト私ハ一ツナンダカラ