いつもの帰り道。
所属していた部活が排部になったから、ちょっと遅かったんだ。だから、だからね。公園の前を突っ切ろうとしたんだ。
………
気のせいか?
……
ん?
公園を渦巻く異様な感覚。肌にまとわりつくむせかえるような血の臭い。
入ってはいけない。なのに、私の足は公園の中へと進んでいく。
その感覚と臭いの中心。
無数の死体の側に佇んでいる。
『紅い眼のモンスター』
あぁ、逃げよう。走ろう。助けを呼ぼう。絶対的な死を予感するとここまで人間は考えられるのだ。ただ、体が動かないだけ。
ピチャ
ペチャ
近付いてくるモンスター。誰かの血を滴らせ、その威圧感は異様で、まるで何かに酔ったかのごとく。
私はその場に座り込みモンスターを見上げる。目が離せないでいた。
右手に光る日本刀。
全てが黒く塗り潰されたかのようなモンスター。
右手がゆっくりと上がる、それは確に私の首もとへと急効果してきていた。
「綺麗」
モンスターがピタッと止まる。日本刀も首に触れる直前で止まった。
「あなたはとても綺麗だわ」
自分でも何故口にしたかは分からない。けれど思ったのだ。
美しい。
これはこの世界のどれよりも美しいと。
「綺麗よ」