その日の夜、いつも通り光太郎とメールのやり取りをしていたさおりの元に見知らぬアドレスのメールが届いた。
『初めまして!一樹です。ヨロシクなっ』
明穂から紹介を受けた相手だった。
確か自分より五つ年上だと聞いたのを思い出し、敬語を意識して打ち返す。
『初めまして。さおりです☆よろしくお願いします』『敬語なんかいらんよ』
一樹はそう言うが
『いえ、目上の人なんで…』
妙に畏まってしまうさおり。
その日はそこで途絶えてしまった。
翌朝、いつもと違ったのはおはようメールが二件届いていた事。
一人はもちろん、光太郎。
もう一人は、一樹だ。
さおりは両方に返信する。
光太郎からはすぐに返って来たが一樹からは来なかった。
(仕事してるんだろうな)
そう思ったさおりは特に気に止めたりはしない。
『さおりん、夏休みはもう予定あるの?』
光太郎からだ。
『友達とプール行く約束ならしてるよ』
さおりは駅のホームで電車を待ちながら返事を打つ。
『さおりんの、水着姿…。いいなぁ(笑)』
妄想する光太郎を想像し、吹き出しそうになる、さおり。
『こうちゃん、おっさんみたい〜(笑)』
二人のバカ話は暫らく続いたのだった。