目眩の中の世界 5th(ダブってますスイマセン)

 2007-07-16投稿
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「あっ、リュウイチ!」
ケータイはもう繋がっていなかった。
「くそ!なんなんだよ!」
そう言って僕はケータイを投げ付けた。
その日僕は母さんに風邪と言って学校を休んだ。こんな状況でまともに授業なんか受けれるはずがない。
さっきの声はなんだったんだろう。確かに自分の声にそっくりだった。でもなんで僕がこんな事を…。そんな事が延々と頭の中をぐるぐるまわっていた。
そしてその晩、僕は思いのほか、早く眠りについた。そして奇妙な夢を見た。

−おい…。
僕はその声が今朝の声だとすぐにわかった。
−なんで邪魔するんだよ。お前の為にやったんだぞ。なんで邪魔するんだよ。
−は!?俺の為!?何言ってんだよ!そんな事頼んでねーぞ!
僕は夢の中で必死に叫んだ。
−頼まれなくてもわかる。俺はお前だ。お前はああなる事を望んでいたはずだ。
−そんな事望むかよ!さっさと元通りにしろ!
−お前がそう望むならそうするさ。だけど、違う。お前はそうは望んでいない。
−そんな事ねーよ!早く元通りにしねーと大事になるだろうが!
−そうだよな。大事になるから元通りにしたいんだよな。別に友達を助けたいからってわけじゃないんだろ。
−えっ…?
僕は一瞬言葉に詰まった。
−お前はいつも一人だったよな。友達がいなくていつも一人で遊んでたよな。ホントいつになったらこっちの世界に友達を連れてくるのかと思ってたよ。いつも一人でこっちの世界にきやがって。
−…何言ってんだよ…お前。
−あいつらはお前が連れて来たんだよ。お前がこっちの世界に来る時あいつらお前に触ってたろ。だからこっちに来たんだよ。逆にお前が触れても 連れてこれるんだけどな。
確かにそうだった。リューイチもその友達2人も僕が目眩で倒れそうになるところを支えてくれていた。
−…何で俺が…そんな事…
僕は何がなんだかわからなくなっていた。
−お前は友達が欲しかったんだろ?いつも自分の側にいてくれる友達が。絶対に離れていく事のない友達が。そうだろ?小さい頃からいつも一人で楽しそうに遊んでたけどホントは友達と遊びたかったんだろ?だからお前が自分でこの世界を造り出したんだよ。このお前だけの友達の庭を……


そこで夢は終わった。起きた時にはもう既に朝だった。そして、僕の頬には一筋の涙が流れていた。

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