その毎週水曜日の昼下がりに俺の携帯電話は鳴った。
「プルルル〜プルルル〜…ピッ」
「おはよう…2時にいつものフロントに迎えにきて」
深雪との待ち合わせは新宿にある謀有名ホテルだった。
以前、深雪から送迎にと与えられていた‘真っ赤なVMWカブリオレ’に‘ジョルジオアルマーニ’のスーツ姿で入り口まで乗り着ける事が二人の決まりになっていた。
勿論、それらは彼女の好みでチョイスされたスタイルだ。
そこから青山から代官山に出かけ、ショッピングをしたり彼女の趣味であるピアノ演奏会などに付き合ったりと様々だった。
夜になると麻布などの地中海料理などを楽しめるレストランを予約しフルコースディナーを取った。
そののち二人はお店へと同伴しラストまで過ごした。
一年近くその関係は続いたが、不思議に肉体関係を求めてはこなかった。
その時は沢山の指名客を持つホストとして、願ったり叶ったりで深くは詮索せず当たり前のように気にも止めなかった。
所詮、男も女も好きな相手に対して心も体も独占し、全ての支配を願う欲求の塊だ!!
例えばそれが…お金に不自由しない大富豪なら尚更その効力を最大限に利用するだろう。
そう考えると、深雪は独占欲や女特有のジェラシーなどを匂わせない風変わりな客に間違いなかった…。vor.15に続く