「じゃ、又連絡して?」
一樹の車で家の近くまで送られる。
「うん、ありがと」
車から出ると運転席に回るさおり。
一樹は窓を開けると、さおりの腕を引いてキスをした。
車を発進させる一樹。さおりはそれが見えなくなるのを確認して、家路を急ぐ。
今日一日で色んな事があった。
初めて入った、男の人の家。
フレンチキス、ディープキス。
どれも初体験のさおりは、心身共に疲れていた。
だけど嫌じゃないのは、一樹の愛を感じたからだ。
「ただいま」
家に着くと、自分の部屋に向かい服を着替える。
カバンから携帯を取り出した際、新着メールに気付く。
『お疲れ!もう帰ってるかな?楽しかった?』
一瞬、一樹だと思ったが違った。
(こうちゃん…)
胸がキュッとなる。
(やっぱり、ちゃんと言うべきだよね…)
さおりは決心した。
風呂上がり、牛乳を片手に頭を拭いていた光太郎の元にメールが届く。
『私、こうちゃんに話さないといけない事があるの』
『え!?恐いな〜何だろ??(笑)』
今から知らされる事を想像も出来ず、冗談混じりのメールを返した。
そして返事が来て、立ち尽くす―。
『実は今日、彼氏が出来たんだ』