(何て返せば良い…?)
光太郎は、テーブルに飲みかけの牛乳を置くと、携帯を片手に悩んでいた。
さおりはどんな返事を求めているのか…。
何度か打ち込んでは違うと思い、打ち直す。
『良かったね。おめでとう。彼氏どんな人?』
別にそんな事、聞きたい訳じゃない。
『私らの五個上だよ。さっき車で送ってくれたんだ』
『へぇ…彼氏、車持ちなんだ。やっぱり男は車持ってる方が良いのかな〜』
そりゃあ、そうだよな。
車持ってる男の方が良いに決まってる…。
そう思うのに、あえて聞く。
正直、ショックだ。
余りに突然過ぎる…。
いつの間に?
以前、話した事があった。
メル友は、彼氏や彼女が出来ると終わってしまうと。
それが嫌だから『私達はずっとメールしようね。お互い、彼氏彼女が出来ても』と、さおりが言っていた事を思い出す。
それで良いのか?
このままで良いのか?
光太郎は頭が混乱して訳がわからなくなっていた。
ただわかった事は、自分が思っていた以上に、いつの間にか、
さおりを好きになっていた事だ。
濡れた髪から雫が落ちて、頬を伝う。
光太郎はそれを拭った。