『さおりん、彼氏は嫌がらないの?俺とメールしてて』
正直に聞いた。
答えは、イエスでも、ノーでもなかった。
『気分が良い訳じゃないけど、メル友だって言うならメール続けてても良いって言ってたよ』
さおりはあの約束を守るつもりだ。
光太郎自身もさおりとメールを続けたい…だが…。
『彼氏に悪いし、さおりんも彼氏の事が本当に好きなら、やっぱりやめるべきだと思う』
自分が彼氏の立場ならやはり嫌だろう。
それに…このまま彼氏の話を聞かされても辛いだけだと光太郎は思った。
メールには打たなかったが…。
『わかった…。ゴメンね』
もうメール出来ない。
『今までありがとう、楽しかったよ』
もう、会うことさえ不可能だ。
『バイバイ』
さおりからの最後のメールを読み上げた時、自然と口から零れた。
「バイバイ…か…」
光太郎はリビングにあるソファーに俯せで倒れ込んだ。
テーブルには潰れた牛乳パックと携帯電話を残して―。
一方さおりは、光太郎との事を一樹に電話で話していた。
『でも、そいつ偉いんじゃない?彼氏に悪いからって』
「うん…」
頷いたさおりの目は、涙で腫れあがっていた。