光太郎は、ちえみの上に覆いかぶさりながら固まった。
(何やってる、俺…しっかりしろ!)
自分で言い聞かせる。
危うくちえみを犯してしまう所だった。
「ごめん…」
ベットから立ち上がり頭を下げる光太郎。
背を向け、はだけた服を直しながら、ちえみは頷いた。
「ちえみは、いつものこうちゃんが好きだから…早く前みたいに笑って欲しい。
恋人になれなくても…好きだよ」
そう言って、ちえみは部屋を後にした。
はぁ〜っ!
大きくため息を付く。
ちえみに手を出さなくて良かったと思った。
光太郎の中では、いつまでも仲の良い幼なじみだ。
その関係を壊したくない。
それよりも、ちえみや周りに心配かけないように、これからは今まで通りでいるようにしようと心に決めた。
さおりと一樹が付き合い始めて、二ヵ月が過ぎた頃だった。
隣で寝ている一樹を起こさないようにさおりはベットを抜け出した。
(どこ?)
時間を知りたくて携帯を探すが、部屋が暗くて中々見つからない。
少し離れた所にそれらしき物が光っていて手を伸ばす。
あったと思ったが手に取ったのは一樹の携帯だった。時間を見るだけと携帯を開いたのだが…