さおりは、リダイヤルと着信履歴を覗いた。
最近の一樹の行動に、引っ掛かるものがあったからだ。
特に気になるような番号はない。
さおりはホッと胸を撫で下ろし、今度は受信メールを開いた。
さおりも知っている一樹の友達からのメールが数件。
その下に、“瞳”と、さおりの知らない女の名前が表示されていた。
日付は昨日になっている。
(友達…?まさか…)
半信半疑で、内容を確認する。
『かず君、今日は楽しかった♪ありがとう(*^_^*)それにわざわざ送ってもらって…。また、飲みに行こうね(ハート)』
(ハート…?)
「さおり?」
一樹が目を覚ました。
さおりはビクッと肩を震わせ、携帯を床に落とす。
電気を付けて、ベットから這い上がる一樹。
「何やってんの?」
さおりは黙り込む。
一樹は落ちている携帯が目につき、拾おうとした。
「瞳って誰…?」
さおりの問い掛けに、『連れの彼女』と答えたが、一樹の手が一瞬止まったのを、さおりは見逃さなかった。
「連れの彼女、車に乗せたんだ…」
「あぁ、送ってくのにな」
「ふぅん…飲みに行ったんだね」
「何?疑ってんの?」
二人の間に張り詰めた空気が流れる。