綾加・・・2・・・

狂夢  2006-03-06投稿
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「葛西!」
「篠村、何?」
「桜田は?」
「もういった。」
「引止めといてって頼んだのに。」
「無理だよ。相手は綾加だよ?」
「わかってるよ。だから一番仲いいお前に頼んでるんだろ。」

一番仲がいい。
傍から見ればきっとそうなんだろう。
だから綾加のことはみんな私に言いに来る。
普段私と話をしないような子でも。

「今日大丈夫だって?」
「うん。」
「マジで?!ありがと!」

篠村は幼馴染で親友だって思ってた。
だけど中学に入って綾加と私が仲良くなって
篠村が綾加を好きになって親友じゃなくなった。
ムコウはきっとそんなこと思ってないんだろうけど。
いつだって一番仲がよかったのに。
隆平から篠村に。
恵美から葛西に。
私が意識したせいだろうけどあいつは私を名前で呼ばなくなった。
綾加にあってから全部が狂い始めたんだ。

それでも
綾加には逆らえない。
綾加に対する衝動が抑えられない。
あのキレイな顔をぐちゃぐちゃに汚してやりたい。
特別な綾加の特別な存在になりたい。
篠村なんてどうでもいい。
親もほかの友達もどうでもいい。
綾加さえいれば。

「恵美ちゃん、あのね。」
「ん?」
「教科書貸してくれる?」
「今度は何された?」
「ほら・・・。」

綾加が差し出した教科書には表紙以外の何もなかった。

「何これ・・・。」
「わざわざ破いて落書きしてくれたんだよ。」
「ちょ、ひどいよ、これ。」

ひどかった。
こんなことやろうなんて誰もいってなかった。
こんなことするなんて聞いてない。

「綾加、大丈夫?」
「うん。もうなれてるからね。」

綾加はそういったけど何も表情が浮かんでなかった。
すました顔で自分の哀れな教科書をもっていた。
いったい何冊こうなったと思っているんだろう。

「綾加にも原因あるんじゃないの?」
「え?」
「だってそうじゃなきゃここまでひどいことされないよ。」
「そんなこといっても・・・。」

イライラが止まらない。
このきれいな顔を乱してやりたい。

「そんな態度だからいつまでもやられるんだよ!考えなよ。」

いつもキレイな綾加の顔が少し歪んだと思った。
変に気持ちよかった。
もっともっとぐちゃぐちゃにしてやりたかった。
ちょっとだけゆがんだ綾加の顔を見ると
苦しくて愛しくて狂いそうになった。



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