【４】
目が覚めた。時刻は午後１時を指していた。
「１時・・。寝過ぎた」
体はそんなに疲れていない。しかし、頭が晴れない。
姫灯達の話では、俺が住んでいた起瀬野市は残像退治の本拠地みたいなものらしく、そこに住んでいる人達の殆どは本職とは別に退治やら情報屋なんかをしているらしい。
「・・帰りにくくなったし」
どんな顔をして帰ればいいかわからなかった。自分が知らなかったとはいえ、みんながあんな危ないヤツと関わっていたなんて。しかし、同時に少し腹が立った。
「なんで教えてくれないんだよ。俺だけのけ者扱いじゃん」
そんなの理由はわかっていた。俺には残像が見えていなかったからだ。わかっていても納得ができなかった。
二人は昨日、途中で奏の携帯電話が鳴り、話を中断して出ていった。急ぎの用事らしい。残された俺は仕方なく寝るコトにして、今に至るわけだ。
何もするコトがなく、俺はまた布団の上に横になった。
考えることは沢山あった。しかし、何から考えていいかわからず、ボーッとしていると再び睡魔に襲われた。
「あんなに寝たのに、おかしいな・・・・」
ドン ドン ドン ドン
扉を叩く音で目が覚めた。
外はもう真っ暗だった。
あれからまた寝てしまったらしい。
ドン ドン ドン ドン
扉を叩く音。
「誰？なんか、怖いんですけど」
そう思いながら、恐る恐る扉越しに、声をかけた
「どなたですか？」
「私。覚えてる？高校の時に同じクラスだった、鷹直 弥生（たかすぐ やよい）」
「鷹直！？なんで、お前まで？」
扉を開きながら俺はそう叫んだ。
「久しぶり、北斗君。卒業式以来ね。まあ、３ヶ月ぐらいだけど」
「あ・・・ああ、久しぶり」
俺は戸惑っていた。なんで鷹直が俺のアパートの場所知ってるんだよ。ってか鷹直ってクラスでは学級委員だったやつだし。まあ仲はよかったけど。
「北斗君、荷造りして。帰るわよ」
戸惑っている俺は更に混乱した。帰るって・・・。
「どこに帰るの？」
俺がそう尋ねると、鷹直は呆れた顔をして言った。
「あなたの帰るところなんて一つでしょ。起瀬野市よ。早く準備して」
・・・・マジですか？
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