眩しい微笑み21

 2007-07-19投稿
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「死なないで下さい」

やっと出た言葉はそれ。

少し、頭が冷静になってきた。

腕の中のミサキさんは何も言わずにそこにいてくれて。




二人の涙が、

静かに零れていた。



腕の中のミサキさんが少し動いた。
僕はミサキさんを見る。

目が合った。





「あたしは、死なないよ」
長い沈黙のあと、ミサキさんがぽつりと言った。

声は小さいけども、その瞳は強い意志を秘めていた。


「あたしはぜったいに、死なないから。死ぬわけないじゃない。・・・あんたに殺されたりもしないから」


僕はこの言葉を待っていたんだろうな。

死なない、って言ってほしかった。

僕に殺されない、って言ってほしかった。



涙がまた溢れた。

ミサキさんを強く抱きしめる。



「大好きです」


ミサキさんは死なない。
死なせない。


それに、

こんなに眩しい彼女を
薄汚い運命が殺せるわけないじゃないか。



「・・・あたしもよ」


視線が交差する。


そして、唇が重なった。






涙はいつのまにか止まっていた。

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