雲一つ無い青空。広がる草原。そこに一人の青年が寝転んでいた。彼の名はゼロ。ゼロは青空を見ながら呟いた。
「・・・暇だな」
そこに一人の青年がやって来た。
「またここに居たのか。」「・・・」
ゼロは何も答えない。青年はため息混じりに言う。
「仕事したらどうだ?」
「・・・」
無言。
「・・・」
青年も黙る。静かに時間だけが過ぎる。無駄だと悟ったのか、青年は静かに立ち去る。ゼロは再度、呟いた「・・・暇だ」
やがてゼロは立ち上がると、彼から突然美しい虹色に輝く光の翼が生える。
しかし彼は天使では無い。神だ。
ゼロが居るこの世界は、神々が住まう「神界」と呼ばれる世界である。
人間も住んでいる。
何故人間が居るのか。それは、人間界で神になれる素質を持つ者は神にスカウトされ、神になるべく修行を積んでいる。または、死んだ人間に罪が無い場合、神の修行を受け、再び生を受けた者だ。罪がある場合にも、地獄で罪を洗い流せば神の修行を受ける事が出来る。神にはそれぞれ特有の能力と色々な形の翼がある。炎の神ならば、炎を自在に操る能力がある。ゼロは翼を羽ばたかせ、街を見下ろしながら飛んでいる。やがて地上に降り、小さいレストランに入る。
「いらっしゃいませ!」
一人の少女が元気に迎える。「ご注文は?」
ゼロは少しメニューを眺めた後、答える。
「日替わり定食。」
「かしこまりました。」
少女は微笑みながら答えるゼロは料理が来る間、ぼーっと外を眺めていた。様々な神や人が忙しそうに行き交う。不意に声が掛かる。「神様ですか?」
先程の少女だ。
「・・・まあな。」
面倒臭そうに答える。
「何の神様なんですか?」「・・・」
ゼロは答えない。
突然、ドアが吹き飛ぶ。
そして、数人の男が入って来る。
「何ですか!?貴方達は!」
「人間の癖に、頭が高いんだよ!」
一人の男が、少女に向かい、剣を抜き、振り下ろす。「きゃあ!」
ガキンッ