瞳と言う女のメールを見て、ショックだった。
だけど、さおりには一樹を責める事は出来なかった。
それを理由に別れを切り出したからだ―。
十二月、何度もあった一樹からの電話も、もうかかって来る事はなくなった。
もうじきクリスマス。
さおりは一年の中でクリスマスが一番好きだった。
『いつか、クリスマスは運命の人と過ごすんだ♪それが夢なの』
いつかのメールで光太郎に言った事がある。
彼氏がいなくなった今ではもう、叶いそうにも無いが。
(さむ…)
雪こそは降っていないが風は強い。
さおりはマフラーを学校に置き忘れた事を後悔していた。
手袋で赤くなった耳を塞ぐ。
いつもの三人はカラオケに行くとかで今日は一緒じゃない。
さおりも誘われたが気分が乗らない為、バイトだと偽って断った。
わざわざ嘘をついた為にバイトに向かう時間と同じ頃に門を出ると、外はすでに日が落ちて来ていた。
さおりは一人、駅のベンチに腰を下ろす。