けたたましいサイレンが近くの通りから鳴り響いてきた。
体がビクッと反応した。
『このままじゃ見つかっちゃう!!早く!!』
私の言動に驚く彼を無視して、背中から抱きかかえ、ぐったりとした体を支えながら私のアパートに向かった。冷たい風を背に受けながら、彼が犯した罪と私の罪、こおりつく寒さと止まない音が私の足取りを早くさせた。
昼間出た時のまま部屋は散らかっていた。12時間前まではいつもの毎日でいつもの私でいつもの日々の中の1日で終わるはずだった。
――――――――――――――――――――沈黙の中、まだつけたばかりの暖房が効かずにふるえてる彼に話かけた。
『大丈夫?』
『・・・・あんた・・・・何考えてるの・俺人殺したんだよ・・』
『知ってる・・でも・・・私のせいだから』
『はっ?あんたのせい?意味わかんねぇ?いいか!ホテルの防犯カメラにあんたとあいつが入って行くとこ!後から俺が一人で入って行くとこ!最後に俺とあんたが出て行くとこが写ってる。身元も財布をみりゃぁ分かる、そしたら俺の事はすぐにばれる!警察は間違いなく今俺とお前を探してる!・・・・・・・・・悪いけどまだ見つかる気はないから、もちろん自首する気も・・。だからあんたは自分で説明しにいけよ、警察に、俺に脅されて連れて行かれてたって言えば大丈夫だから!』
『・・・私の事は私が決めるから』
『だから!!何いってんだよ!!!俺といるとお前も犯人にされんだぞ!!今はまだこのへん警察がはってるから俺は出る訳にはいかない、だからお前がなんとか俺から逃げてきたって警察に保護を求めれば、お前の疑いはすぐはれる。』
『あの人父親でしょ?』