「・・・・・あれ?」
男の剣は折れていた。男は何が起こったのか解らず、困惑する。少女を斬るはずだったが、目の前には青年が立っている。
「な、何だテメェ!?」
青年は静かに、冷たく、笑い、
「死ね。」
男の意識はそこで途絶える。男は、その場から、元から居なかったように、文字通り、消滅した。チリ一つ残さずに。他の男は唖然としている。少女もまた、ただ驚愕していた。そしてリーダー格らしき男が青年の顔を見て青ざめる。
「ゼ・・・ゼロだ・・・。破壊神、無の神、ゼロだ・・・。」
「ゼ、ゼロ・・・!?」
他の男達も驚愕する。ゼロと呼ばれる青年は、ニヤリと笑い、
「・・・消えろ。」
ゼロは男達を消そうとしたが、それは出来なかった。少女がゼロの前に立ち、平手打ちをしたからだ。
「助けてくれてありがとうございます。でも、いくら悪い人達でも、生きてるんです!命を奪うのは駄目です!」
「自分を殺そうとした奴を庇うのか。」
「命を奪われるのを黙って見ているなんて出来ません!」
少女は目に涙をため震えた声で叫ぶ。
「・・・。」
ゼロは手を前に出し握り拳を作り、ゆっくりと広げた。すると、先程消滅した男が、突然現れる。気を失っている。他の男も同様に気を失っている。
「ありがとうございます。私の言ったこと、わかって頂けたんですね!あと、先程は助けて頂いたのに、殴っちゃって・・・」
少女が微笑みながら感謝と謝罪をする。
「泣かれるのが苦手だっただけだ」
ゼロが微妙に照れ臭そうに答える。それを見て、少女はクスクスと笑う。
「早くメシくれ。」
少女は注文をすっかり忘れていた。
「ご、ごめんなさい、冷めちゃいました。また作りますので、待ってて下さい!本当にごめんなさい!」
ゼロはため息をつき、席に着く。
「あ〜暇だ」