Person of THE fate〜運命の人〜32(KO-TARO-)

じゅりあ  2007-07-21投稿
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―そこには彼女の姿はなかった。


(間に合わなかった…)

息を切らした俺は、近くのベンチに腰を下ろした。

脱力…。

「はは…」

何か可笑しくなって、口から乾いた笑いが零れた。

そうだよ、今のクリスマスシーズンに、彼氏のいるさおりんが一人な訳ないし。
あれだ、そう…幻ってヤツ。

一人で淋しい俺の未練が見せた幻だ。








電車が来て、俺はトボトボと乗り込む。
入り口に立って、ぼんやりとドアの外を眺めていた。

(何をやってんだろうな。本当に俺は…)

たまにドアに写る自分の姿を見ては情けなくなった。


《まもなく楽加賀駅に到着します》

さっきと丸っきり同じアナウンスが流れる。

乗り過ごしじゃあるまいし、二度も同じアナウンスを聞く事になるとは…。

虚しい…な。


《楽加賀駅、楽加賀駅―》

手摺りに掴まり、入ってくる人の邪魔にならないようにと避ける。

「!?」

(…幻?)

そう思ったのは、そこに彼女の姿を見つけたからだ。

今度はドアが閉まる前に飛び降りる。

何でここにいるとか、そんな疑問はこの際どうでも良かった。

目の前の彼女が、俺を見ていたから―。

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