Person of THE fate〜運命の人〜33(SAORI)

じゅりあ  2007-07-21投稿
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「さおりん…?」

目の前の彼が、確かめるように問い掛けて来た。

私は小さく頷く。
初めて聞くこうちゃんの声。高くも低くもなく、胸が鳴る。

まさか、こんな形で会う事になるとは…。
向こうもそう思ってると思う。

私は緊張や罪悪感やらで、上手く喋る事が出来なくて黙ってた。
こうちゃんも、何か考えてるんだろうか?
何も言わない。

あのまま待ってたら来てくれると思ってた。
なのに、さっきはこうちゃんから逃げるように電車に乗ったんだ。
今更、合わせる顔なんかないって思ったから―。

でも、会いたかった。

声を聞いてみたかった。

私、何てズルイんだろう?


「もう我慢すんの辞めた…」
先に口を開いたのはこうちゃんだった。

「ずっと諦めようと思ってた。でも無理な事に気付いた。さおりんに彼氏がいたって、何だって…」

こうちゃんの強い眼差し。私はドキドキして、でも苦しくて…真っすぐに見る事が出来ない。

「俺が、好きなのは…

さおりんなんだ!」


彼の息が白く消える。

ずっと欲しかった言葉、今やっと、手に入った。

泣かないって決めてたのに。無理だよ…。

私の頬をポロポロと流れ落ちた。

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