紅い女神〜暗い影〜

おねえ  2007-07-21投稿
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負け犬と言われた男は椅子を蹴飛ばして、立ち上がった。

「本当の事を言われて腹が立ったか。醜いな。女に負けて酒に溺れて、良い笑い者だな」

フードを目深に被った男は口元を歪ませた。

「言い返せないのか。見苦しいことこの上ない」

「お前になにがわかる」

男はフードの男の喉元に掴み掛かった。

「離せ、周りが見てる。欲しくはないのか、この国と力が」

フードの男はすんなりと手を離して言った。

「ふざけたことを。この国はあの女のものだ。力もあの女には叶わない。それでどうすると言うんだ」

男はまた椅子に座り直して言った。

「あの女から奪えば良いじゃないか。必ず機会はある。ここには反抗する者もいることだしな」

フードの男は囁いた。

「……そんなこと、できるはずが……」

「本当に?」

「できる、のか?」

フードの男の言葉に男は目を見開いた。

「お前がやれればな」

フードの男は口端をやおら持ち上げて、男に囁いた。

「俺が……」

「そうだ、お前がやるんだよ。俺が教えてやる」

囁く声は甘い。男は不適な笑みを浮かべ席を立った。

「これで紅い女神も地に堕ちる」

フードの男は不適な笑みを浮かべた。



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