二人の目の前には黒いロングコートを羽織りサングラスをかけた男が立っていた。
首筋には二人と同様に痣があり、右手に太刀を左手に小刀を持っている。
(コイツが例の死神って奴か?
死神っていうより暗殺者って感じだな…
ってそんな事よりコイツの武器と俺とじゃ勝ち目がねえじゃん!!
さっさと逃げないと…)
仁はそう思いこの事から逃げ出そうした時、ぼう然と立っていた青年が
「ぱッパパァー!!」
と満面の笑みで叫んで男に駆け寄った。
しかし男は
「この出来損ないめ…
目障りだ!!」
と言って太刀で青年の首をスパッと斬り落とした。
斬り落された首は血をまき散らしながら満面の笑みを浮かべて嬉し泣きをしながらボトッと仁の側に落ちた。
首無しの体は重力に従い斬り口から血を垂らしながら後ろに倒れていく。
しかし男は死体には目もくれず冷酷な薄笑いを浮かべて
「まずは一人…」
と言い放った。
*
蔓延する血の匂い、
紅く染まる太刀、
そして何より男の冷酷な薄笑いと身を切り裂く様な鋭い殺気が仁に勝ち目はないと悟らせた。
「わぁ…あぁ…」
動揺して呻き声を漏らし後退りする。
その時、仁の足に何かが当たった。
下を見るとそこには笑みを浮かべながら泣いている青年の首が焦点のずれた目で仁をじっと見ていた。
(殺される…)
(このままじゃ…)
(俺も…)
(((殺される!!!)))
恐怖と生への執着心が震えて止まっていた足を動かした。
仁はフェンスを飛び越えて7階建てのホテルの屋上から飛び下りた。
「逃がすものか…」
コートの男はそう呟いて仁と同様に屋上から飛び下りた。
※第二章は残酷な描写が含まれます。