「ヤマザキさん…これって…」
「トカシの仕業だな…」
トカシ…土の中に棲むケモノの一種で、その名の通り特殊な液体で何でも溶かしてしまう…実際、目の前にはトカシの犠牲になった人間が大量に横たわっている。新人の俺が闘うには危険すぎる相手だと思うが…
「応援呼んだ方がいいな…スズキとテルでいいだろ、あいつらどうせ暇だし。」
スズキさんは、ヤマザキさんが一番信頼している人。いつもダラダラしてるし、あんまり喋らないけど、かなり凄腕の剣豪らしい。ちなみに剣豪とは、カタナっつう細い剣を使う人のこと。
テルは俺と同期の新人剣士。この前会ったときはかなりでかい剣を持ってたけど…
「あ…スズキさんですか?ケンですけど、テルつれて応援に来てくれません?…トカシです。はい…ヤマザキさんもいっしょっす。じゃあおねがいしまーす!」
「どうだった?」
「来てくれるみたいですよ。あくびしてましたけど。」
三十分後、スズキさんとテルが到着した。スズキさんは愛刀の『アサギリ』と『ヨギリ』を腰に帯びている。かなり様になっているが、テルの巨大な剣『ディバーン』は、ちびのテルの二倍近くあって、ぜんぜん似合ってない…でもテルは何故か自信満々だ…