LASTSUMMER#09 『初打席』

SETTARMEN  2007-07-23投稿
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【3回表】


打席には八神光輝がいた。


打席に立つと周りの音が静かに聞こえる。


まるで俺と相手投手が1対1で戦っている。


そんな感覚に襲われる。


初球。


外側!!やや外れてるか…


バン!!


主審『ストラーイク!!』


ギリギリベースの上を通っていた…


周りの歓声が耳に入らない中、曾我端さんの怒鳴り声だけが響いた。

『振らなきゃ当たんねぇんだよ!!結果出せねぇと使わねぇぞ!!』


これを聞いて俺はビビった…


初球から受け身の気持ちで臨んでいる俺に、曾我端さんは喝を入れたのだった。


そうだ!結果を出さないと次はない!


俺は気持ちを切り替えた。


2球目。

南が振りかぶったのが一瞬見え、その後また速いストレートが来た!!


真ん中やや内側?


頭をよぎった瞬間、俺はバットを振った。


カキッ…

ガシャーン!!

『ファール!』


ボールはバックネットに吸い込まれた。


これで2ナッシング。


三球連続真っ直ぐはないだろう……?


南、相良バッテリーは考える間も与えない。


また南が振りかぶったのが見えた。


俺はバットを強く握った。


ビュン!!



……真っ直ぐ!!


真ん中の低めだろうか…


打った感じは良かった。


カキーン!!


南がのけ反りながらグラブを出したが、そのグラブを弾き打球がセンター前に抜けるのがわかった。


また3塁側が沸く。


俺は一塁へ無我夢中で走り、遂に練習試合初打席、初安打を記録した。


緊張感が和らぐと一気に歓声が耳に入った。

タク『いいぞ!コウ!』

リュウヤ『即席左バッターいいねぇ〜♪』


3塁ベンチで腕組みをしながらニヤける曾我端さんの顔が見えた。

今井先生も笑顔だ♪


【無死1塁】

塁上で曾我端さんの出したサインを見ると『送りバント』だった。

トップに帰ってアキが打席に入る。


3回表、俺自身のヒットで南から点を奪うチャンスを作ったのだった。

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