花葬(2)

澤野数奈  2007-07-24投稿
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1月10日 18:33
学食の窓際の隅の正方形のテーブルの席。ちょうど4人がけのそこは最近俺達のお気に入りになっている。というか、テスト期間はいつもここで夕飯を食べている。
「あー、彼女欲しいー!!」腕を上に伸ばしながら、叫ぶように言うのはタイキこと宇佐川大樹。決してモテないわけじゃない。男の俺から見てもタイキの顔立ちは整っていて、カッコイイと思える。彼女ができない理由として、この大学の環境があげられる。ここS大は理学部のみの大学なのだ。理系は元々女子の数が少ない。なおかつ俺達はその中の物理学科ということもあって女子の存在は皆無である。そして、
「誰か可愛くて性格いない真っ白な汚れのない、純粋な子いないかな??」
タイキに彼女がいない2つ目の理由。それは極度の面食いと恋愛潔癖症である。とにかく相手の過去を引きずるのだ。昔付き合っていた彼氏のことなど。だから、誰とも付き合ったことのない女の子で、なおかつモデル並の顔じゃないと付き合えないのだ。
「お前はえり好みしすぎなんだよ。じゃなきゃ相手なんていっぱいいるだろ。」
もっともらしいことを言って、唐揚げを口に運んだのはシュンこと榊原駿。タイキとシュンとは入学当初に行われた学外研修で仲良くなった。それ以来一緒にいるのが常になっている。
「いいよな、彼女いるやつは余裕で。」
タイキが嫌味ったらしく言った。そう、シュンは入学して早々バイト先が一緒の女の子に告白され、付き合った。なんとなく惚れた女の子の気持ちがわかる。シュンは俺達の中で1番大人びた性格をしていて、しかもタイキに次いで綺麗な顔をしている。そしてやたらと心が広い。こんな完璧すぎるやつを女の子が放っておくわけもない。
「タイキだってシュンの言う通り選ばなきゃすぐに彼女できるよ。」
と、サラダのトマトをよかしながら言うのはマキこと小池眞紀。学科唯一の女の子だ。マキとは実験の班が一緒だったことで仲良くなった。出身が女子高だったこともあって、最初は戸惑ってばかりだったようだが、最近は慣れたようで、ずっと俺達と一緒にいるようになった。
「でしょ??リツカもそう思わない??」
「そうだな。」
俺、金井律日はただそう言い、ご飯を口にほおった。
「そういや、リツカは彼女いないの??」

続く

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