僕はロボットを造った。 3年前に死んだ彼女に似せて造った。 髪型、目、声、しぐさ。 すべてそっくりに造った。
不運な事故だった。 酒酔い運転のトラックが彼女の車を潰したからだ。 即死だった。
それが幸か不幸かはわからない。 結婚間近にして、彼女は僕の前から消えてしまった。 「翔」 けれど僕は彼女のあの優しい声を取り戻した。 「好きだよ翔」 彼女そっくりなロボットは僕を見つめ、ほほ笑み、キスをする。
「愛してるわ翔」 大好きな君。
世界でただ一人愛した君。君さえいれば僕は何もいらなかった。 命だって惜しくなかった。「翔…」
大好きな大好きな君。 僕が持てる愛をすべて君に捧げよう。 僕はロボットを壊した。 ロボットの肌があまりにも冷た過ぎたから。