まじまじと俺の顔を見つめるユカリ。
そのまま見つめ合っていたらやっと覚醒したのか、不意にユカリが微笑んだ。
「リョウ……おはよぅ。」
ユカリの口から初めて聞いた言葉。
まるで魔法みたぃに俺を笑顔にさせる。
「……おはよ…。」
「今何時?」
「あ?え〜っと……11時。」
「えっ!もうそんな時間!?」
慌てて起きようとしたユカリ。
でも俺の腕が邪魔でうまく動けないみたい。
「リョウ!離して!」
もがくユカリを更に押さえつける。
時間なんてどーでもいいじゃん。
もう少し…
このままでいたい……。
「離して!」
「ぃや。」
俺はユカリを抱き枕みたいに抱え込み、完全に捕まえた。
「リョウ〜。」
「もぅちょっとだけ……。」
「寝ぼけてるの?」
寝ぼけてなんかない。
ただ素直になっただけ。
本当は
いつもこうしたかったんだ。
ユカリが帰ったあとの薄暗い部屋は冷たくて、寂しくて、大嫌いだった。
でも一言が言えなくて、この手が動かなくて………
「もぅちょっとこのまま。」
「甘えん坊…。」
腕の中で呟くユカリ。
もぞもぞしたかと思うと、俺の背中に腕を回して抱きついてきた。