「着いたわ。降りるわよ」
「…なんなんだよ…この乗り物…」
「だからエレスタだって」
「どうゆう仕組みで、こんな箱が飛行機みたいに動くんだよ」
「仕組みなんか特にないわ。
風の魔法で動いているだけ」
魔法って…そんなものまで、この国にはあるのか。
どんな不可解な現象も『魔法』だと言われれば、納得した気分になるから不思議だ。
「これがアレク・ハウ・ロウィン―レイゼル興が治める城。レスニア城」
目の前には、巨大な城がそびえたっていた。
古さを感じさせながらも、雄大に、それは存在していた。
正面には城に見合った、巨大な鉄の扉。横には武器を持った兵士が二人。
こうして城に見とれている間にも、エレスタから降りた人々は城へ向かっていた。
扉の横にいた兵士が、合図のようなものを中に送っている。
すると巨大な鉄の扉が大きく音をたて、ゆっくり開いていった。
どうも、場違いな場所に来てしまったことを、感じずにはいられない。
「…どう?」
ハルが唐突な質問をする。
「どうって…なにがだ?」
ハルは、意味深な笑顔を浮かべていた。
「…思い出したかな…って…」