(はじめに)この物語は実際の事件をもとに描かれた話しでありフィクションではない話しですので名前は全て仮名です。これは同じ歳の妻美紀枝と二人の娘に囲まれたごく普通の一般家庭を築き上げた村井武彦(34歳)と幼なじみながら親友であった三島武司の話しである。
(出会い)
村井と三島は同じ小学校、中学、高校だった。とはいえ三島は小学五年生 の頃に転校し田舎からの転校というのもあり言葉なまりで目立つ少年だった。三島は村井を知らなかったがそんなこともあり村井は転校してきた当時から三島の存在を知ることになる。二人は中学まで同じクラスになることもなく初めての会話は偶然にも同じ高校に入り同じクラスになったことがきっかけで面白いことに初めての会話は登校中「おはよう」と村井が声をかけ、三島も「おはよう、どこの中学から来たの?」「何言ってんの?!同じ中学じゃん」そこから始まった。
そして三島は村井に誘われるがまま同じクラブ、拳法部に入りやがて三島はキャプテン、村井は副キャプテンになり常日頃仲良くやがてはクラブもインターハイに導くことになった。
さて二人の性格というと三島はどちらかというとわんぱくと不良の中間で要領悪く生活指導の先生から睨まれていたのに対し村井は成績もよく温厚で後輩にも面倒見がよく人望のある生徒であり二人を同時に見れば「剛と柔」見たいな関係であった。そしてヤンチャな三島も村井の話しだけはよく耳を傾きまさに三島にとっては参謀的な存在だった。
その「柔」とも「参謀役」とも言われすべての人からも人望の厚い村井が十年の歳月とともに壊れていくなどと三島をはじめまわりの人間、村井本人にも誰にも知るよしもなかった…