「おはよ〜」
「ああ、おはよう。」
繰り返される、同じような毎日。
それは少年の病状を、文字通り悪化させていく。
新しい世界を夢みて、詩のような物を書いてみたりもした。
なんだかわからないけど、洋楽も聞くようになった。
勉強したくても手に付かなくて。家族に八つ当りしたりもした。
そんな、何も信じられなくなってきた彼が、たった一つ、信じていたもの。
それは、彼のたった一つの癒しでもあった。
「ー新しい世界ー」
きっとあると信じ、幽体離脱にも挑戦してみた。
成功はしたけど、新しい世界には行けなかった。
「それはきっと、死後の世界にあるんじゃないのだろうか。」
誰がそう言った訳でもないのに、勝手に仮設を立てて、信じ切った。
自殺する勇気がないから、「いつでもそっちに行けるから、もう少しこっちにいよう」
なんて自分に言い聞かせながらね。